
一般的に東北はですが、岩手弁も訛りが強いイメージがあると思います。
テレビのインタビューでも、濁音が使われた方言を耳にしますよね。
しかし今回紹介する岩手弁は、「おしずかに」という一見すると標準語の意味と思ってしまうような方言です。
標準語とは異なる意味と、岩手弁の敬語表現についてなど、この記事で綴っていこうと思います。
方言
おしずかに
地域
岩手県
「おしずかに」の意味
お気をつけて。おしずかに、の「しずか」は「静か」と当てます。
この「お静かに」は、他にも「さようなら」という意味でも使われます。
岩手県では主に見送る側が相手に別れを告げる時や、客人を見送る時などに使用されています。
加えて「お静かに。ご油断なく」と言われることもあり、この際のご油断なく、は「お気をつけてお帰りください」という意味で使っているんだそうです。
同じ東北の宮城県、青森県でも同じく「さようなら」という挨拶の意味で使われています。
また、新潟県では「ごゆっくり」という意味もあり、お風呂を勧めるときなどに使うんだそうです。
岩手弁と敬語について
岩手弁は盛岡弁とも呼ばれます。
この盛岡弁、岩手の都市部の盛岡市の更に中心地で用いられている方言で、分類は東北方言の北奥羽方言に分類される、岩手県中部方言の1つです。
南部弁にも属すのですが、南部弁にも地域により方言に様々な違いがあります。
特に盛岡は江戸時代は南部藩・盛岡藩の城下として栄えた歴史を持ち、その為南部藩領内にある他の地域とは異なる言語的、方言的な特徴が形成されていきました。
それは敬語の表現に明確な階段があることや南奥羽方言のような無アクセントではないこと、そして武家言葉にも町人言葉どちらにも似ていることです。
盛岡弁の敬語表現には、女性が主に用いる親しい間柄で使われる言葉、敬語の文末表現、敬語の階段表現などがあり、以上の代表的な一遍の各表現だけでも2階段から9階段までと、使い分ける敬語表現が多数あります。
例えば代表的な敬語表現として「おへれんなせ」は「おはいりください」という意味ですが、更に丁寧な敬語表現として「おへれってけなんせ」という「お入りくださいませ」という意味の方言もあります。
このような多数敬語表現がある岩手、盛岡弁。
おしずかにもそうですが、相手を敬い最大限もてなして無事で帰って欲しい、という心遣いが方言にもありありと浮かんでいるのが分かります。
「おしずかに」を使った例文

(いやぁ、相変わらずここのご飯は美味しいわよねぇ。温泉もとても気持ち良かったし、2日だけじゃなくて1週間くらい有給もぎ取ればよかったわ)
(そう言ってくださると、こちらも嬉しいです。良ければまた来年もおいでください)


(絶対そうするわ!お見送りありがとう、2日間お世話になりました)
(お待ちしております。では、お気をつけて行ってらっしゃいませ。)

お気をつけてというと、どうしても旅館とかの見送りを想像してしまいます。
おがとおぐりがお見送り、らずもねぐがとてもになるんですね。初めて知りました。
まとめ
おしずかに、という岩手弁について語ってきましたが、それだけでなく、敬語表現が複雑でたくさんあること、引いてはおもてなし精神が方言に現れていることも知れました。
他の県や標準語でもあると思いますが、これだけ日本語に敬語表現があるんだ、と改めて思い知らされて知らずに舌を巻いてしまいました。
場面や相手別に使うのは大変だし頭を使うと思いますが、やっぱり言葉の音とかが綺麗に現されているなぁ、と思ってしまいます。